コミュニケーション
「このクラスに平岡真里と言う女がいるはずなんだが」

そう聞いた芹沢くんに、
「ひ、平岡真里さん、ですね。

い、今すぐお呼びいたします」

男子は敬語で答えると、あたしと目をあわせた。

――早く芹沢さんのところに行け!

――でなきゃ、俺が殺される!

必死で目であたしに訴える彼に、あたしは椅子から立ちあがった。

芹沢くんがいる教室のドアの方に向かう。

「おい、平岡のヤツは芹沢に何をしたんだよ…」

「かわいそう…」

あちこちからささやかれる声を通り過ぎると、
「えっと…何の用ですか?」

芹沢くんに話しかけた。
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