あなたを待つ夜
週末、部署の一大プロジェクトが終わったと言うことで、カラオケボックスで打ち上げが行われた。

ビールの栓が抜かれ、皆一気に流し込んでいく。

優子は隅の方に座り、ビールを飲みながらカラオケ大会の様子をぼんやりと眺めていた。

すると、隣に豊がやってきた。

「はい、優子ちゃんももっと飲んで」

そう言いながら優子のグラスにビールを注ぐ豊は少し酔っているようにも見える。

「優子ちゃんってさ、可愛い顔してるよな」

豊がそう言うと、「分かります。ハーフみたいで美人さんですよね」と

二人の前に座っていた芹沢愛梨が相槌を打った。

「そんなことないですよ。恥ずかしいです」

照れ臭くなった優子は一気にグラスのビールを飲み干した。

「優子ちゃんはあんまり酒強くないんだっけ?」

「そうなんですよ。沖縄出身のくせにあんまり飲めなくって」

「沖縄の人って女の子でも強いイメージだけどな」

「人それぞれですよ」

「まあ、無理しない程度飲みなよ」

豊は席を離れ、カラオケ大会の連中に混ざって歌を歌い始めた。
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