あなたを待つ夜
優子達は其々飲み物を購入し、一番奥の席に座った。

「はじめまして。渋谷成美です」

「長嶺優子です」

優子は目を見つめた。

カラーコンタクトが入っているのかと思うぐらい色素の薄い綺麗な茶色の目だ。

「それで、どうするの?白状するの?これ以上とぼけても無駄だけどね」

「……」

「黙ってないで何か言ったらどう?」

「……」

「聞いてるの?」

成美の表情はひどく強張っていた。

薄化粧が施されているものの、マスカラが滲んで目の下に黒い線ができている。

「黙ってれば黙ってるほど自分が不利になるって分かる?」

優子はゆっくりと口を開いた。
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