あなたを待つ夜
穏やかな波が砂浜に押し寄せては返す。

東京にはもうずっと行っていない。

優子はふと豊の顔を思い出す。

あれから5年と言う月日が経ったと言うのに、とても鮮明に思い出される顔。

確かに彼を愛していた。

豊にはこっぴどく裏切られたものの、優子の中で彼に対して憎しみとかそう言う感情が渦巻くことはなかった。

美花と出会えたことが優子にとって他には絶対に換えられない幸せだからだ。

あっと言う間に日が暮れてしまった。

優子はしっかりと美花の手を握り、ビーチのすぐ傍の駐車場に戻っていった。

<終わり>
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