あなたを待つ夜
「とりあえず吐けるだけ吐いちゃって」

「本当にごめんなさい」

「大丈夫だよ。あ、ちょっと待ってて」

豊はそう言ってマンションの一階部分にあるコンビニに入り、ミネラルウォーターを買ってきてくれた。

自分のせいでここまでさせてしまうなんて、優子は本当に申し訳無い気持ちになった。

優子が地面に座り込んでうなだれてる中、豊のスマートフォンの着信音が鳴った。

豊はふう、と溜め息を吐き、スリープボタンを押して着信を切ってしまったのだが、またすぐに着信音が鳴った。

「ごめん、ちょっと電話するね」

豊は今度は電話に出た。

「もしもし?ああ、うん。あともうちょっとで帰るよ。こんな時間だから寝てればいいのに」

……奥さんからの電話か。

ああ、ほんとに迷惑をかけてしまった、と優子は止めどない吐き気に襲われながらも心底申し訳ない気持ちになった。

「ごめんね、優子ちゃん」

電話を終えた豊は再び優子の背中をさすりだした。
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