0×0

「っ!!」

目を見開き、驚きで声も出ない零に、少年はクスクスと笑う。


「どうしているんだー…って顔をしてるな。
言っただろ?俺はお前専属の"死神"だ。
お前が何処に逃げようと、直ぐに突き止められる」


少年の切れ長の目が、意地悪そうに歪んだ。


「そ、そんな事、信じられるわけ無いでしょ!」

驚きで、開閉する事しか出来なかった零の口から、やっと言葉が紡がれた。


「まぁ、普通そうだろうな」


外見は至って普通の人間。格好は黒一色という、少し異色な格好だが、どう見ても死神には見えない。


「あたし、死神とか、オカルト的な事は一切信じてないから。
何であたしの事が分かったのか知らないけど、あたしはあんたと関わるつもりは無いんで!!」


一気にまくし立てると、零は売店に向かって、一目散に逃げ出した。


その後ろ姿を寂しげに見つめる少年を、知りもせずに。
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