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「あー!!マジ有り得ない!!」
憤怒の表情で、零は売店へと入った。
適当に、お菓子と飲み物を大量に掴み取り、レジへと持って行く。
「ご機嫌斜めだねー」
お金を払っていると、横からひょこりと、顔が現れた。
「ん?あ、美穂!
ちょっと色々あってさぁー」
美穂と呼ばれた顔の主は、にこりと笑って、零の横に立った。
「怒ると、シワ、出来ちゃうよ?」
「ご忠告どーも!
生憎、まだピチピチなんで!」
店員からお釣りを零は受け取り、レジ袋を手にとって売店を出た。
それに、美穂がヒョコヒョコとついて行く。
美穂はお世辞でも、美人とは言えない顔の持ち主だ。だがその分、スタイルが良い。性格も温和で優しく、誰からも好かれる様なタイプだった。
「ねぇ、今から零の病室行っても良いかな?」
「良いよ。お菓子買いすぎちゃったから、丁度良いし」
エスカレーターで、三階へと上がる。
「でもさ、何でさっき怒ってたの?」
美穂が思い出したかの様に、零に聞いた。
零はポリポリと頬を掻く。
「なんかさ、自分の事"死神"なんだーとか言う、頭のおかしい奴に付きまとわれてさ。まじキレてたんだぁ」
「え………死神……?」
大きく目を見開き、美穂は零を凝視した。
大粒の汗が額を伝う。
尋常では無いその反応。
「み、ほ?大丈夫?
体調悪いの?」
零は美穂の手を引き、近くにあったベンチに座らせた。
美穂はフルフルと頭を左右に振る。
「ち、違うの!
ちょっとビックリしただけ。私、そっち系苦手だから…」
「あー…そういえばそうだったね。美穂、幽霊とか苦手だったよね。
ごめんね」
成る程ね、と零は納得し、ベンチから立ち上がった。
それに合わせて、美穂も立ち上がる。