0×0

「あー!!マジ有り得ない!!」


憤怒の表情で、零は売店へと入った。
適当に、お菓子と飲み物を大量に掴み取り、レジへと持って行く。


「ご機嫌斜めだねー」


お金を払っていると、横からひょこりと、顔が現れた。


「ん?あ、美穂!
ちょっと色々あってさぁー」


美穂と呼ばれた顔の主は、にこりと笑って、零の横に立った。


「怒ると、シワ、出来ちゃうよ?」

「ご忠告どーも!
生憎、まだピチピチなんで!」


店員からお釣りを零は受け取り、レジ袋を手にとって売店を出た。
それに、美穂がヒョコヒョコとついて行く。

美穂はお世辞でも、美人とは言えない顔の持ち主だ。だがその分、スタイルが良い。性格も温和で優しく、誰からも好かれる様なタイプだった。


「ねぇ、今から零の病室行っても良いかな?」

「良いよ。お菓子買いすぎちゃったから、丁度良いし」


エスカレーターで、三階へと上がる。

「でもさ、何でさっき怒ってたの?」

美穂が思い出したかの様に、零に聞いた。
零はポリポリと頬を掻く。

「なんかさ、自分の事"死神"なんだーとか言う、頭のおかしい奴に付きまとわれてさ。まじキレてたんだぁ」


「え………死神……?」


大きく目を見開き、美穂は零を凝視した。
大粒の汗が額を伝う。
尋常では無いその反応。
「み、ほ?大丈夫?
体調悪いの?」

零は美穂の手を引き、近くにあったベンチに座らせた。
美穂はフルフルと頭を左右に振る。


「ち、違うの!
ちょっとビックリしただけ。私、そっち系苦手だから…」

「あー…そういえばそうだったね。美穂、幽霊とか苦手だったよね。
ごめんね」


成る程ね、と零は納得し、ベンチから立ち上がった。
それに合わせて、美穂も立ち上がる。
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