特別なお客さん。〜あなたとの距離〜
「あぁ、この問題は…」

大原くんは優しく、わかりやすく教えてくれる。
教えるのに夢中で、距離が近くなっていることに気付いていない様子。
その距離感にドキドキしちゃう私。

「…って感じだけど、どう?」

「あ、ありがとう!大原くんの教え方うまくてわかりやすい!…このテキスト読んでもちっともわかんなかったから!」

ドキドキして半分くらいしか理解できていなかったけど、もうそれどころじゃなかった。

「あ、ごめん、めっちゃ近かったね…」

距離の近さに気付いた大原くんが少し恥ずかしながら元の距離に戻った。

「あ、ううん…!そんなこと…」

ドキドキして、つい顔が熱くなっていて、隠すに隠せなかった。

「…じゃ、じゃあ、次、ここまでやってきて?で、わからないところあったら俺に聞いてくれたらいいから。」

多分、私が意識してることに気付いたのかな。
大原くんは少し動揺しながら話し始めた。

「あ、う、うん。わかった。ここまで頑張ってみる。あ、そろそろ…バイト行かなきゃ。」

「そうだな。じゃあ、またバイト終わったら。」

「うん。お互いバイト頑張ろうね。」

そう言ってお互い、お店へ向かった。

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