特別なお客さん。〜あなたとの距離〜
私は大原さんがお釣りを財布に入れ終わるのを待って、商品を渡す。


「いつもありがとうございます!」

そう言って。

その瞬間、大原さんが固まったような気がした。

あれ?
私、なんか変なこと…言ったかな…?


私が大原さんのことを覚えていることをアピールしたいから、今まで言ったことのない、『いつもありがとうございます!』と言ってみたんだけど…。

おかしかった…かな?



大原さんは袋を受け取ってくれた。

「ありがとうございます…。」

下を向いてるから目が合わない。


あれ、さっきより少し耳が赤い…ような…。

「またどうぞお越し下さいませ!」

私は大原さんの方を見て笑顔で言った。

さっき一瞬動きが止まったような気がしたけど、なんだったのかな…。


…と、次は玉川さんだ!

「いらっしゃいませ、お待たせ致しました!」

玉川さんから少し離れたところで待っている大原さん。

私の意識は完全に大原さんに向いていた。


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