特別なお客さん。〜あなたとの距離〜
「すいません…」

その背中に勇気を出して声を掛ける。


棚に向かって腰を低くして商品を並べていた大原さんの手が止まった。

「はい。どうしました…か…?」

立ってこっちを振り向いてくれた大原さん。
ばっちり目が合い、大原さんの動きが止まった。



私だ、って気づいてくれたかな…??

パン屋の店員だ、って気づいてくれたかな…??


それとも、私の顔とか髪型とかなんか変だったかな…??




「あの…コルク板ってこのお店に売ってますか?あるならどこにあるのかな〜と思いまして…。」

私より背の高い大原さんを見上げる形になる。
この身長差に少しどきっとしてしまう。


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