特別なお客さん。〜あなたとの距離〜
「じゃあ…タメ語で話しません…??」

敬語だと距離感じるもんね。
少しでも距離を縮めたい!そう思って言ってみた。

「そうしましょ!これから敬語は禁止で!」

「はい!」

「あと、俺のことも大原、って呼び捨てでもいいんで。」

「そ、そんな急に呼び捨てでなんて…!ってさっき敬語…」

「あ、敬語禁止と言いながら…」



今までレジで「いらっしゃいませ。」、「ありがとうございました。」くらいしか話す(言う?)しかなかったのに。

今日も初めは辿々しく話していたのに。


気付けば、二人で笑い合っていた。


「じゃあ、しばらくは…大原くんって呼ぶね!」

大原”さん”ではなく、大原”くん”。

「じゃあ…俺は宮下さんで。」


名前を呼ばれるのが慣れなくて、なんだかくすぐったい気分。


「…ってバイト終わってからけっこう時間経っちゃってるね。そろそろ…帰った方がいいか。」

「あ、確かに!」


あまり遅くなっちゃうと親に心配かけちゃうしね。

本当はまだまだ話し足りない、

もっともっと聞きたいことがある。
もっともっと話したいことがある。
もっともっと知りたいことがある。


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