僕らのはなし。①
料理をお腹一杯食べると、目的地に着くまで寝てしまった。
目的地が何処なのか知らないけど。
聞いても教えてくれなかったから。
「おい?
着いたぞ。」
そう言って、伊崎に揺らされたので目が覚めた。
「あれ?柚瑠や皆は??」
「先に降りたぞ。
行くぞ。」
周りを見回しても一緒に乗ってたはずの皆が居なかったので聞いてみるとそう言われ、腕を引かれて飛行機から降りた。
空港のような施設にから出て、皆と合流して移動の為にかなり広々とした車に乗り込んだ。
「えっと、ここは何処??」
外の景色を見ながら、一番最初に思った事を聞く。
「一応、国内??
奄美大島の近くで、うちの島。」
「えっと…伊崎財閥所有の島って事?」
「あぁ。
お前がパスポート持ってるか分からなかったから。
他にもいくつかリゾート開発した島が海外にもあるんだけどな。」
「新の家も日本の北海道に似た島がある。」
「何か売ってたから使えるかと思って買ったんだ。
まぁ、まだ足りないとこがあるから、これからいろいろ手を加えるけど。」
「全然分かんないけど、そうなんですか。」
皆口々に答えてくれたんだけど、全く自分達とは違う次元の話に、それしか返せなかった。
渡されたパンフレットには、ショッピング出来そうな平屋のお店が並んだ街や市場、アミューズメントパークなどいろいろ施設があるみたいだった。
車で数十分走って、大きな海が見えてきた。
暫く進むと、大きな家の前に到着。
「ここは?」
「一応別荘。
ホテルもあるけど、俺達だけの方が楽だろ。
まぁ、使用人は手配してるけどな。」
「充分ここも大きいと思うんですけど。」
前にいった伊崎の家よりは小さいけど、大分大きな家を見上げながら聞いてみると、何て事ないように言うので、呆れながらも呟くように返した。
車の運転手さんが荷物を降ろして中に運んでくれた。
そういえば私達全然自分で荷物持ってないから、ホントに申し訳なく思う。
まずは中に入って、それぞれに割り振られた部屋に荷物を置きに行った。
部屋のカーテンを開けると、外に真っ青な中が透けて見えるほど綺麗な海がすぐ目の前に見えた。
「うわぁ…綺麗。」
「プライベートビーチだ。
1階からそのまま浜辺に出れるようになってる。」
窓際に張り付くように立って、海を見つめながら呟いていると、この部屋には私しか居ないはずなのに後ろから声が聞こえて来た。
「伊崎…何で居るの?」
「遅いから迎えに来た。
行くぞ。」
私がキレるより先にそう言って、私の腕を掴むと外に出た。
皆ももう集合していて、まず買い物に街に繰り出す事に。
途中で車を降りて、四宮さんと神崎さんのガールフレンドらしき、外人のお姉さん達と合流して、いろいろなお店を見て回る。
伝統的な小物とかも置いてあって、それを合わせてみたりした。
皆で並んで歩いてたけど、やっぱり時々少し離れて歩いてる結城先輩の姿が気になった。
彼女さん達と別れ、帰宅すると初日は皆早くに解散して寝た。