僕らのはなし。①
スッカリ辺りが暗くなった頃…伊崎に呼ばれて皆で行ってみると、伊崎の指示でテラスのテーブルに用意されたらしき料理達。
「うわぁ!!
凄いな!!」
「皆の為に用意した。」
「1人の為じゃないのか?
まぁ、美味そうだからいいけど。」
料理を見て褒めた四宮さんと、伊崎の言葉にツッコミをいれる神崎さん。
「お前はここ座れ。」
「ちょっ、痛いから。」
少し強く手首を握られ、引っ張って座らされた席は、何故か皆とは別のテーブルだった。
「いっぱい食えよ。」
「こんな食べれるわけないでしょ。」
「無理しなくても良いけど、お前は細過ぎて心配になる。
だから溺れたりするんだ。
いっぱい食え。」
そう言って、フォークとナイフを渡された。
「ありがと。」
素直に受け取り、何から食べようか見ていると、視界の端で席を立つ先輩の姿が見えた。
そのまま先輩は部屋に行ってしまったみたいだった。
気になりながらも、有り難くお腹一杯食べると部屋にそれぞれ戻って、各々過ごす事に。
部屋は1人1部屋用意されていて、バスとトイレもそれぞれの部屋に設置されていた。
急な旅行で疲れたので、普段はシャワーだけなんだけど、お湯をはって置いてあった入浴剤も入れて入った。
お風呂からあがって浴室から出ると、何故か部屋には伊崎の姿が。
「お前は遅い。
あと、クーラー効き過ぎじゃないか?
あんまり冷し過ぎると風邪引くから気を付けろ。」
「今日は疲れたから湯船にも浸かったの。
お風呂入ると汗かくからこのぐらいの室温で良いの。
てか、何で居んの?
ここ私の部屋だよね??」
一旦外に部屋のNo.も見に行ってから、戻ってきてそう言った。
「鍵かけたはずなんだけど。」
「俺の別荘なんだから各部屋の鍵くらい持ってる。」
「はぁ。
でも、私が着替えてるかもしれないでしょ?
勝手に開けないでよ。」
伊崎の返答に呆れながらも、ちゃんと言った。
「渡したいものがあったんだ。」
「何?」
ちょっと身構える私の腕を取ると、腕に変わった造りのブレスレットをつけた。
「やっぱりこういう安っぽいのが似合うな。
なくしたら許さねぇからな。
髪乾かしてから寝ろよ。」
満足そうに自分がつけたブレスレットを見て、私の濡れた頭を若干撫でると、それだけ言って出ていった。