僕らのはなし。①


暫くして解放されると、放心状態で何も言わずに先に別荘の自分の部屋に戻った。

「伊崎…。」
部屋のドアの前には伊崎が居た。


「お前何処行ってたんだよ?」
「何処って…ちょっと眠れなかったから外の空気吸いに?」
「1人でか??」
「えっ、いやまぁ。」
嘘つくのも変だし、本当の事をいって心配されるのも嫌だったので、曖昧に答えて誤魔化した。

まさか、この時の言動が後で酷く彼を傷つける事になるなんて思わなかったから。



「もう1人でフラフラしたり、酒飲んだり、溺れたりするな。
何かありそうなら言って来い。」
「えっ、何でよ!!」
「良いから。
じゃあもう寝ろよ。」
そう言うと、私の頭を軽く撫でて部屋に戻っていった。


部屋に入り、ベッドに横になると逆に2人の男が頭のなかを占めていて浅い眠りしかとれなかった。




伊崎に貰ったブレスレットがなくなってるのに気づいたのは、次の日の朝だった。

必死に探したけど、部屋の中も別荘内も…一応先輩と会った浜辺も見つからなかった。








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