僕らのはなし。①


その後、昨日のクルーザーで、皆でクルージングに行った。

伊崎に何でもないフリするのは、心苦しかったけど。


溺れないようにベストを着て、ボートを水上バイクで引っ張ってもらって、海の中のジェットコースターのようなものを楽しんだ。

昼ご飯はクルーザーの中で食べて、昼過ぎには帰ってきた。


気づいたら、さっきまで一緒に居たはずなのにまた消えた先輩。

心配になって探していると、筏のような小さな船で今にも何処かに行きそうな先輩の姿を発見した。

「何してるんですか?」
「釣りに行こうと思って。」
「船大丈夫ですか?」
「意外と大丈夫。
必要なのは、帆と風かな。
君も行く?」
「良いんですか??」
「騒いで魚を逃がさなければ良いよ。」
「はい。」
先輩に手を貸してもらい船に乗り込んだ。


何か木製でリゾート風な感じのする船に、2人で揺られ釣りを楽しんだ。
と言っても、私は隣で見てただけなんだけど。

先輩は、魚が釣れても直ぐに放していた。


戻ってきて、今度はSJの4人がビーチバレーを始めたので、応援していると何か伊崎の様子が変で気になった。

「純!危ない!!」
神崎さんが叫んだけど、間に合わなくて伊崎は顔面にボールをぶつけた。

「伊崎?」
「大丈夫ですか?」
「おい、どうしたんだよ??」
「大丈夫か?」
「純?」
皆駆け寄って、それぞれ声をかける。

「大丈夫だから、ほっとけ。」
皆の手をやんわり振り払い、突き放すと鼻血を出したままフラフラと歩いていってしまった。


「どうしたんだ、アイツ?」
「やっぱりちょっと気になるんで行ってきます。」
「うん。」
「頼む。」
私は伊崎を追い掛けた。




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