僕らのはなし。①
「先輩…お願いだから、幸せになってください。
先輩が不幸だと私も幸せになれないから。」
先輩は私がそう言うと、一度離れてからキスをした。
私はジッとしている事しか出来なかった。
私も先輩が初恋だったから。
同じように初恋で傷ついてる彼を突き放すのは出来なかった。
でも、先輩が離れた後、視線を感じそっちを見た。
「伊崎…。」
絶望した目をした伊崎がいた。
「ハッ…そういう事か。」
「あのこれは。」
「何だ?
これもハメられたとか言う気か??」
「そうじゃなくて。」
「純、これは」
「黙れ!」
そう言って、伊崎は先輩を殴った。
「ちょっと待ってよ!!」
「星野。
俺は出来る限りの事をした。
これがその答えか。
もうお前なんか知らねぇ。
二度と話し掛けんな。
時雨、お前の顔も二度と見たくない。」
私は先輩に急いで駆け寄った。
伊崎は何かを地面に叩きつけるように投げ、怒りを抑えるように静かにそう言うと伊崎は歩き去ってしまった。
私達は声も掛けれずに見てる事しか出来なかった。
伊崎が去った後、さっき地面に叩きつけるように投げた物を拾ってみた。
それは、私がなくしたはずのブレスレット。
「何でこれ??」
「昨日、落としてた。
俺が拾って、純に渡したんだ。」
「そうだったんですか。」
何となく、昼過ぎに伊崎の様子おかしかった理由が分かった気がした。
1人で散歩してたのか聞かれて曖昧に答えた私。
でも、ブレスレットできっと昨日先輩と一緒に居たのが分かったんだ。
私は傷つけたくなくて言わなかった。
けど、結果傷つけてしまったんだ。
その後、ほとんど何も話さずに戻った。