僕らのはなし。①



「「湊、お帰り。」」
「姉ちゃん、お帰り。」
「ただいま!
ごめんね。
自分だけ旅行行って。」
家に着いたら、家族が笑顔で迎えてくれた。
申し訳なくて謝った。

「何言ってるの。
そんな事気にしなくて良いのよ。」
「姉ちゃん、楽しかった?
どんなとこに行ってきたの??」
「一応国内なんだけど、海が綺麗で別荘が浜辺にあるの。
それに結構いろいろ施設もあって、素敵な島だった。」
「そこって伊崎さんの持ってる島?」
「うん。
伊崎の家の持ち物の島。
けど、ごめん。
きっともう伊崎に関わる事はないと思う。」
「どうして?」
「何かあったの??」
「伊崎を傷つけちゃった。
だから、もう何も関係ない。
ごめんね。」
私は心配そうな家族にそう言って、謝るとすぐに部屋に行った。


夜、自分の部屋で伊崎の事を考えた。

いつも強引で、人の意見なんか全く聞かない奴だったけど、いつも一途で真っ直ぐな奴だった。

私が言ったからか、ある時は制服を着てきた。
デートとはとても言えない呼び出し方をして、私が遅れても信じて待っててくれた。
ハメられて、全校生徒に傷つけられた時も、花に人質にとられた時も守ってくれた。
今回の事も連れ出し方は強引だったけど、精一杯私を楽しませようと努力してくれた。

私は伊崎の気持ちに、何一つ答えられてないのに。

「伊崎…ごめんね。」
1人、部屋でブレスレットを握りしめながら涙を流し、心の中で謝った。



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