僕らのはなし。①
「聖奈の事があったから、今君とこうしてるのかな。」
「結城先輩…聖奈さんと連絡は??」
そう言った先輩にどうしても気になって聞いてみた。
「あの事は話したよ。
記事の男とは結婚しないって。」
「それじゃあ…」
「ううん。
それでも同じだよ。
今回は違っただけ。
きっとそのうち聖奈もそういう人に出逢う。
だから、もう解放してあげないと。」
私はまだ希望があるって思ったけど、先輩は少し儚げに…でも決心はついたようにそう言った。
「ありがとう。
君のお蔭でさよなら出来そうだ。
俺の初恋と。」
「先輩…。
世の中には何度別れても再会する縁があるんだって。
だから、必ず2人はまた会えるよ。
何故なら、2人は…。」
私が話していると、急に肩に先輩が寄りかかった。
見てみると寝てるみたい。
「何故なら…。
聖奈さんのお蔭で、私もさよなら出来そう。
自分の初恋と。
こちらこそありがとう。」
きっと聞こえてないと思うけど、そう伝えた。
それから、先輩を起こさないようにゆっくりソファにもたれさせて、家を出た。
「さよなら…結城先輩。」
そう呟いて、帰路に着いた。
不思議と寂しさや辛さはなくて、スッキリしていた。
「きっと後悔すると思うけど、これで良いんだよね…聖奈。」
その後、先輩が目を開けて、聖奈さんの写真を見ながらそう言った事は知らなかった。