僕らのはなし。①
ー純sideー
ずっと、時雨には大きな借りがあった。
小さい頃…時雨の両親が亡くなって暫くした時の事。
俺は時雨が持ってた車の玩具を無理矢理奪う形で借りた。
でも、直ぐに壊してしまって…玩具の残骸を見て、泣き出した時雨。
後にそれは時雨の父親が最後の誕生日に時雨にあげたプレゼントだった。
だから、今回アイツが聖奈の事で自棄になって、星野を利用したのは許せなかったけど、無理矢理引き離す事は出来なかった。
星野まで壊せないから。
これで良いんだと思いながらも、アイツを諦められる気はしなかった。
「おい、いつまで寝てんだよ。」
「どっか行こうぜ?
買い物でも行くか??」
「めんどくせぇ。」
「じゃあ射撃行くか??」
「興味ねぇ。」
俺が寝ていると昼間っから、陣と新が起こしに来て、やたら絡んできた。
「なぁ、今頃時雨は星野とデートか。」
「アイツらのデートってどんな事するのか想像つかねぇ。」
俺が断って剥ぎ取られた布団を取り返して、頭からかぶっていると、2人のそんな会話が聞こえてきた。
俺に聞こえるように話してるとわかってても、気になる。
「原っぱで昼寝でもしてんじゃねぇ?」
「膝枕して??」
そんな言葉が聞こえてきた。
考えたくねぇのに、時雨に膝枕して微笑みあってる星野が頭に浮かんでくる。
ジッとしてるのは俺の性に合わない。
俺は奴等を無理矢理帰らせると、居場所を調べさせて向かった。