僕らのはなし。①
13.初デート。


あの後、気づいたら先輩も四宮さんも神崎さんも居なくなってた。

いつ帰ったんだろう??


それから間もなくして、夏休みに入った。
…と言っても、私は秋にコンクールがあるから、毎日のように登校しないとダメだけど。



夏休み3日目…今日はバイトが休みなので、朝から学校に向かってると後ろから変な気配が…。

何かつけられてるみたいなんだけど…。

髪の毛を気にして確認するように鏡で後ろを見てみると、3人くらい黒スーツのお兄さん達がついてきてた。

どうしよう…。
とりあえず学園までダッシュして逃げ込むか。
あそこなら、関係者以外入れないし。

でも、私の足遅いからなぁ。

まぁ…やってみよ。
1.2.3!今だ!!

自分でカウントして走り出した。
そしたら、追い掛けてくる黒いスーツのお兄さん達…もといおじ様達。
マジで怖い!!

夏真っ盛りの朝っぱらから全力で走ってるけど、楽譜が入ってる鞄が肩から落ちてくる。

撫で肩なのかな?


走りながらもかけ直していると、目の前に滑り込むように停められた黒の高そうな車…。
何とか止まってぶつかるのは阻止出来た。

息を整えながら見ていると、運転手さんが降りてきて、後部座席の扉を開け出てきたのは…伊崎だった。



「お前何やってんだよ?」
「ピアノの練習行こうとしてたの。
てか、何これ??
あの人たち、あんたのとこの??
かなり怖かったんですけど。」
私は伊崎を見上げながら、文句を言った。


「行くぞ。」
「はぁ?
ちょっ…」
私が止めようとしてるのも無視して、無理矢理車の中に押し込まれた。

何?拉致??

少しの苛立ちもあったが、大人しくちゃんと座席に座った。
伊崎も乗り込むと車は走り出した。

どこに行くのか聞いたのに、伊崎は答えてくれなかった。

いつも勝手に決めて振り回すんだから。




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