僕らのはなし。①
断固拒否を示した私に、何故かそれなら皆でって事になり、5人で川の字で客間で眠り出した。
普通、それぞれの部屋で寝るよね?
どこの親が娘の彼氏としかも夏に川の字で寝るんだよ。
クーラーついてるから暑くはないけど狭い。
「フッ」
「何がおかしいの?」
「だって普通信じられるか?
俺ん家のトイレくらいの広さの部屋で5人も寝てんだぜ??
お前の家族面白過ぎる。」
家族は寝静まった頃、未だに眠れずにいると、隣で眠るマコの向こうから笑いが漏れるのが聞こえ、理由を聞くとそんな答えが返ってきた。
トイレ程の広さってとこはムカつくから、無視するとして、私もまさか皆で寝る事になるなんて思わなかったから同意したい気分だった。
「変な家族だよね。」
「だけど、何か家族の寝息が聞こえるほどそばに寄り添って寝てるって良いな。
俺も仲間入り出来たような気分だ。」
「そう?
まぁ、良い家族だけど…。」
伊崎が何か寂しさと嬉しさを交えてそう言ったけど、この家族の1人1人の癖とかそれなりに分かってる私は少し濁してそう言った。
「伊崎ん家は??」
「俺の家は…分かるだろ?
家族の寝顔なんて見た事ない。
皆、別々だ。」
「そうなんだ。
ふぁ…私もそろそろ寝るね。
アンタも寝なさいよ。
おやすみ。」
家族に何の期待もしていない感じの答えにどう返して良いか分からなくて、そう言って目を閉じた。
「おい…寝るのかよ。
星野??」
「はい…星野です。
えっ、はい分かりました!!」
伊崎が私を呼んだ時、急にパパが起き上がりそれだけ言うとまた寝てしまった。
どうやら寝言らしい。
「美味しそうなお肉…いただきましゅ。」
「チッ放せ!!」
続いて、食べ物の夢でも見てるのか可愛らしいマコの寝言の後、そんな声が聞こえてきて、少し笑いそうになった。
手を食べられそうになったのかな??
結局、目をつぶったまま眠りに落ちてしまって、その後伊崎がなかなか眠れなかったなんて気づかなかった。