僕らのはなし。①
ー純sideー
「チッ…。」
俺は不機嫌全開で隠す事もなく舌打ちをした。
星野のコンクールが終わっても連絡はなかなか来ずで、いい加減苛立っていた。
コンクールの準備期間は多目にみたが。
さすがに終わってからも連絡無しな事に憤っていた。
「はぁ…そんな気になるなら連絡すれば良いだろ??」
「ダメだ。
俺からした途端に主導権はアッチに流れる。
俺からは絶対しねぇ。」
「だからって、舌打ちとか不機嫌な空気まかれるのうざいんだけど。」
呆れたような新の言葉に断固拒否っていると、本当にうざそうな顔をした陣はそう毒づいた。
時雨は会話にすら入らず、本を静かに読んでる。
♪~
携帯の着信音が鳴ってディスプレイで相手を確認すると、星野からだった。
「噂をすれば何とやらってか??」
「すぐ出ると待ってたみたいだぞ??」
「だよな。」
「でも、星野の性格からいうといつまでも鳴らし続けるかな??」
新と陣の言葉に頷き、暫く待たせようかとも思った時、さっきまで関係ないように本に集中していた時雨がそう言った。
聞いてたのかよ。
「…はい?誰だ??」
「私…星野だけど。」
とぼけてみると、アイツの冷静な声が聞こえてきた。
「星野…あぁ、星野ね。
20日と33分ぶりだから誰か分かんなかった。」
「はぁ…余裕ないの丸わかりだろ。」
「数えてたのかよ。」
俺の話を聞いてた陣と新はそう突っ込んだ。
「伊崎…あのね、もし伊崎が良かったら、私の友達とその彼氏と一緒に出掛けない??」
「はぁ??」
「やっぱ嫌??
遊園地行こうと思ってるんだけど。」
「当たり前だろ!!
俺は絶対行かねぇ!!」
そう言って、強引に電話を切った。
「星野なんて?」
「星野の友達とその彼氏と俺達で遊園地行こうって。
誰が行くかよ。」
「友達って?
柚瑠ちゃん??」
「彼女、結構やるね。」
「じゃあ俺が行く。」
俺が電話の内容を話すと、陣と新が星野のダチに感心したような顔をした後、陣が珍しく立候補してきた。
「何でだよ。」
「一般人のデートに興味があるから??」
「疑問系かよ。」
「ダメに決まってんだろ??
明日はゴルフするからゴルフ場に集合だ。」
そう言って、俺は奴等の返事も聞かずに帰った。
星野は謝らなかった。
連絡してこなかった理由も言わなかった。
『何だよ、あいつ。』って気持ちとやっぱり連絡が来て嬉しいなんて思っちまう馬鹿な俺。
結局は惚れた方の負けなのか?