僕らのはなし。①


ー湊sideー

約束の日…私は待ち合わせ場所の前で、柚瑠と2人並んで待ってた。

今日は少しお洒落してきた。

こないだの初デートは突然連れ出されたから普段着だったしね。


あいつめ…言ってよね。
突然連れ出されても困るんだから。

お蔭で記念すべきはずの初デート普段着って。

女心分かってないんだから。

嬉しかったけど…。


「ねぇ、あいつ来ないと思うよ。」
「えっ、そうかな?」
「うん。
だって何か機嫌悪かったから。
一応メールで今日の詳細送ったけど…来ないよ、きっと。
それより柚瑠の彼氏に会えるの楽しみ。」
「あれ?星野??
こんなとこで偶然だな。」
柚瑠と彼氏を待っていると、明らかに不自然な感じで声をかけられた。

見てみると、やっぱり伊崎が立っていた。

待ち合わせ日時知らせてあるんだから、偶然なわけないでしょうが。



「アンタこそ何してんの??」
「この近くに用があって、偶然通り掛かったらお前らが立ってたから。」
「ふーん…そう。
私は柚瑠の彼氏を待ってるの。
忙しいならもう行けば??」
何か態とらしいし、ムカついたのであしらうようにそう言った。

「ちょっと湊…。」
「はぁ…伊崎。
結局行くの?行かないの??」
「仕方ないから、お前ら庶民のデートに付き合ってやる。」
柚瑠に宥めるように名前を呼ばれ、ここは折れる事にした。

デートの日にムカムカしたくないしね。

伊崎が偉そうに答えた時にはぶん殴ってやろうかと思ったけど。




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