僕らのはなし。①
「湊、良かったね。
目的達成じゃない??
伊崎さん、よく我慢して合わせてくれてるよ。
信じていいんじゃない??」
「うん。
そうだね…。
何か今でも不思議な感じだけど。
でも楽しかった。」
「私も。
でも、橋本くんどうしたんだろう??
いつもはそんな感じじゃないんだけど…。
今日はやたら伊崎さんに絡んでいって。」
「私も。
それにはアイツがいつ爆発して手を出すかってヒヤヒヤした。」
「ごめんね。
遅刻も結局謝ってないし。」
「いや、それは別に良いけど。
これ以上地雷を踏まないよう願うしかないね。」
「そうね。
私も気をつける。」
2人が戻って来るのを待ちながら、そう話していた。
「あれ?何か遅いよね…。」
「どうしたんだろう??」
「てか、何か外騒がしくない??」
「行こ!!」
店内のドリンクバーに行っただけのはずなのにやけに遅い事に気づいて不安になってきた私達。
その時、何か店の外が騒がしい気がして、私達は行く事にした。
店内の入り口から野次馬の人達をぬって見てみると、伊崎が橋本に馬乗りになって殴り続けていた。
慌てて2人で駆け寄る。
「伊崎!」
「橋本くん!!」
「何やってんの??
やめて!!
どうしたのよ??」
「仲良くしようって普通に話してただけなのに、いきなり殴りかかってきたんだ。」
2人で駆け寄り、私が伊崎にやめるように言って問いかけると、橋本が怯えたようにそう言った。
「ホントなの?」
「ムカついたから殴った。
お前…もっとマシな男選べよ。
星野、こんなのが庶民のデートだって言うんなら、俺は2度としねぇ。」
「待って。
橋本くんに謝って?」
「誰が。」
「このまま帰るなら、私達終わりだから。」
「ちょっと湊…。」
「謝って。」
帰ろうとする伊崎を呼び止めそう言うと、さすがに焦ったように柚瑠に名前を呼ばれたけど、このまま行かせて良い事でもないから、もう一度そう言ったけど、何も返さないまま言ってしまった。
「何なんだよ…アイツ。」
「橋本くん、大丈夫??」
「ごめんなさい。」
「気分が悪くなったから俺も帰る。」
そう言って、心配する柚瑠と謝る私を残して橋本は帰っていった。