僕らのはなし。①
「あっ…橋本くん。」
私よりも先に橋本に気づいた柚瑠はそう小さく声をあげて名前を呟いた。
視線を辿ってみると、やたら露出の多い派手な女を連れて少し前を歩いてた。
「こないださぁ…暇潰しに付き合ったWデートのもう一組のカップルの男の方が大財閥のお坊っちゃんだったんだ。」
「へぇー。
凄いね!!紹介してよ??」
「辞めとけって。
イケメンだけど、かなり狂暴なやつだった。」
「ふーん。
でも、普通の家庭の子とイケメン御曹司なわけでしょ?
彼女可愛いの??」
「普通の女だったよ。
磨けばもっとマシかもしれないけど。
化粧もそんなにしてなくて、地味で何処に惹かれたのか分からない。
勿体無いと思って、2人になった時に女を紹介してやろうとしたら、いきなり殴ってきやがった。
俺の女をてめぇみたいな奴に悪く言われる筋合いねぇだと。
全くとんだひどい目にあわされたぜ。」
「ねぇ、お話し中悪いけど、今の話は本当なのかな??」
2人の話を聞いて、大体分かったので怒りを抑えながらそう声をかけた。
「はぁ?
お前等…。」
「ねぇ、聞いてるんだけど…。」
「何?この子知り合い??」
私が先に聞いてるのに派手な女は橋本に寄り添いながら自分に気を向けるように服を軽く引っ張りながらそう聞いた。
「こんなのと?
知り合いってほどでもない。
さっき話した奴だよ。
話が本当ならどうだってんだよ。」
橋本は彼女の質問に答えた後、私を見下したようにそう言ってきた。