僕らのはなし。①


自宅前に到着すると先輩はバイクを止めた。

「ありがとう。」
「何かあったらいつでも言って。」
「何もないと思うんだけど。
まだそこまで伊崎と深い仲ってわけでもないし。」
「うん、そうだと良いんだけど…。」
「心配しないで。
大丈夫だから。」
何かかなり深刻そうな先輩に安心してもらいたいのと、自分もそう思いたいって気持ちもあってそう言った。

「じゃあね…。」
「待って。」
「だから、大丈夫だって。」
「そうじゃなくて…かぶったまま。」
家に入ろうと踵を返すと呼び止められ、振り向いてさっきの言葉を繰り返すと頭をポンポン叩いて、ヘルメットをかぶったままなのを指摘されてしまった。

「えっ、あ…ごめん。
ありがとう。
じゃあ気を付けてね??」
何か恥ずかしくて、ヘルメットのベルトをはずすと先輩の返事も聞かずにそれだけ言って家に急いで入った。




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