僕らのはなし。①
ー湊sideー
それからも、学校に通いながらも、バイトを探してはスピカと掛け持ちで働く生活が続いた。
「いらっしゃいませー。
どれくらい入れますか??」
今日はガソリンスタンドのバイトをしていて、入ってきたバイクが止まるとそうドライバーに声を掛けた。
「満タンで。」
「お支払方法はどうなさいますか??」
急に目の前に差し出されたのは缶コーヒーだった。
「…先輩!!」
ヘルメットをしてたし、相手の顔を見てなかったから気づかなかったけど、顔をあげてヘルメットを取ったのを見てみると、バイクのドライバーは結城先輩で、私が声を掛けるといつも通り笑ってくれた。
「はぁ…眠くて死にそうだったから助かった。
ありがと。」
バイクのガソリンを入れ終わった頃、私も休憩を取る事にして、お客さん達が休憩出来るように設置してあるテーブルセットに向かい合って座って、もらった缶コーヒーを飲むと一息ついてそう感謝の言葉を伝えた。
「無理し過ぎじゃない?」
「えっ?
そんな事ないよ。
私は元気とタフさだけが取り柄の星野 湊だよ?
心配しないで。」
「嘘つき…。
体は正直だ。」
呆れたような感じでそう言った先輩はポケットから白いハンカチを取り出して私の鼻にあてた。