僕らのはなし。①


ハンカチを見てみると、一部が赤く染まっていた。

「あっ…。」
最近歳誤魔化して深夜も働いたりしてたし、寝るのは朝と学校の授業中くらいで、レッスンもちゃんとやってたからオーバーワークになっちゃったらしい。

「ティッシュあるから大丈夫。
ごめんね。
洗って返す。」
「良いよ。
でも、痛々しくて見てられないかな。
あっ、俺が純なら胸が痛むと思う。」
綺麗なハンカチを汚してしまって申し訳なくて預かって洗うって言ったけど、拒否されてしまった。

私はポケットからティッシュを取り出し、鼻血を拭き続けた。

先輩は私を自分が痛みを受けたように見てそう言ったけど、急に視線をはずして言い直した。


「伊崎には言わないで。
自分で何とかしたいから。
それに、堂々とアイツと向き合いたいの。」
「羨ましいなぁ…純が。
じゃあ行くね。」
そう言って、先輩は外に出ていったので着いていくと、ヘルメットをしてバイクを発進させ去っていった。

私は手を振って見送った。






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