僕らのはなし。①
18.帰ってきた暁ちゃん。
学校が終わり、今日はスピカのバイト。
なので、休憩中…空いた席に座って求人雑誌を見ていた。
マコに心配かけてるようじゃ、姉としてダメだと思うから。
今みたいに日によって違うバイトをいくつもするのは良くないのかなって。
安定しないしね。
♪~
すると、店の扉が開き、扉に設置されてる鈴の音がした。
「いらっしゃ…えっ、何で??」
「久しぶり…湊。
大きくなったな。」
休憩中でも店内に居るから、一応挨拶しようと入り口を見て固まった。
だって、今私に話し掛けたお客さんは此処には居ないはずの人だったから。
「ホントに、暁ちゃん?」
「うん。
ただいま!!」
「暁ちゃん!!」
ホントに相手が暁ちゃんだと知って、仕事場って事も忘れて相手の胸に飛び込んだ。
当たり前のように私の背中に回された腕。
以前より逞しくなっていた。
「湊?どうし…えっ、暁大さん?
帰ってきてたんですか??」
「あっ、柚瑠ちゃん。
久しぶり!
柚瑠ちゃんも大人っぽくなったね。」
私がちょうど離れた時に、厨房の方から出てきた柚瑠が私が騒がしかったらしく、事情を聞こうとしたみたいだけど、先に暁ちゃんに気づいて話し掛けると暁ちゃんも普通に返していた。
「湊ちゃん…どちら様??」
柚瑠の後から登場したマスターは当然知らないのでそう聞いてきた。
「あっ、すいません。
騒がしくしちゃって。
彼は…織部 暁大ーオリベ アキヒロー。
私の母方の従兄弟です。
暁ちゃん、こちらこの店のマスターの田島 智人ータジマ ノリトーさん。」
「初めまして。」
「初めまして。
いつも湊がお世話になってます。」
「いえいえ。
頑張ってくれてるんでこちらこそ助かってますよ。」
暁ちゃんとマスターにそれぞれを紹介すると、2人はそう挨拶を交わした。