僕らのはなし。①
ー時雨sideー
最近、星野がかなり忙しいらしく、かなり不機嫌な純が家に来た。
今日も誘ったけど断られたらしい。
「理解出来るか?
デートに誘っても何かトラウマがあるのかいつも断りやがって。
平日も休日もバイトバイトって。
折角休ませてやろうと思ったのに。
大体アイツはどんだけ働く気だよ。」
そう言って、俺の返事とかは全く聞く事なく話すと、ふて寝してしまった。
翌日…たまたま家に帰る時に星野を街中で見つけた。
しかも見知らぬ男と買い物袋を持って歩いていて、バイクで2人の前に回り込んで止めた。
「先輩!
どうしたの…こんなとこで??」
「昨日純が家に来たよ。
今日の事は見なかった事にする。
じゃあ。」
一旦相手の男に目を向けたけど、直ぐに星野にそう告げて去る事にした。
星野…いくら何でもそれは駄目だ。
別に嘘ついた訳じゃないだろうけど、純の誘いは断って、見知らぬ男と一緒に居るなんて。
俺でも良い気はしないから。
というか、俺自身が2人のツーショットにムカついたから。
だから、遠回しにでも気づかせたくて、わざと声をかけて、わけは聞かずにそれだけ言って去った。
「最近、お前静かだな。」
「あれだけ星野とデートしたいって騒いでたのに。」
数日後…4人で溜まり場に居る時に、新と陣がそう言い出した。
「ちょっと計画変更。」
「どういう事??」
「焦らしてアイツから言ってくるのを待つ事にした。
俺からいつも誘うなんて、何か癪だし、俺の方が好きみたいじゃねぇか。」
「いや、実際そうだし。」
「成功すると思う人。」
純の言葉に呆れたように新が言うと、陣がそう挙手を募ったけど、誰一人手をあげなかった。
「無理だと思う人。」
逆のその質問には純以外の全員が手をあげた。
「お前ら…。」
純は不服そうにしてたけど、ついつい笑ってしまったのは内緒。