僕らのはなし。①
19.衝突と孤独。


ー湊sideー

結城先輩にたまたま暁ちゃんと買い物帰りに出くわしてから数日が経った。

先輩の言いたい事も分かる。

私だって伊崎が女の子と2人で居るのを見たらって想像しただけでムカつく。

でも、バイトを辞める事も暁ちゃんと離れる事も出来なかった。


「湊。」
「暁ちゃん、どうして?」
「たまには大事な従業員を労ってやろうと迎えに来た。」
校門から出ると声を掛けられ、振り返ると暁ちゃんがいた。

聞いてみるとそうイタズラを思い付いた子供みたいな顔して答えた暁ちゃんと腕を組んで歩き出した。

「星野。」
「伊崎。」
すると、前から歩いてきた伊崎。
少し驚いた。

「どういう事だ?
バイトじゃねぇのか??
いつも誘っても断ってたのはソイツが原因だったのか??」
「ちょっと待って。
そうじゃないの。
ちゃんと説明するから、話そう。」
私達の組んでた腕を見てかなりキレてる伊崎に、腕をほどいて一歩前に出てそう言った。

「フッ」
「てめぇ、何がおかしい?」
「ちょっ、暁ちゃん!!」
「湊、良いから黙ってろ。」
「てめぇ、星野を名前で呼ぶんじゃねぇ。」
「フッ…そんなに自分に自信がないのか?
そんな事言ってる場合かよ。
お前こそ全然見えてねぇじゃねぇか。
湊はマジで毎日のように働いてんだ。
お前の親のせいで。
なのにお前は呑気にデートに誘って。
断られたらむくれて。
嫉妬する前にちゃんと守ってやれよ。」
「暁ちゃん。
そこまで言わなくていいから。」
「言わなきゃわかんねぇだろ。」
「てめぇ。」
暁ちゃんが言った事にムカついたのか、私達の会話が不快だったのかで伊崎は暁ちゃんを殴り出した。



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