僕らのはなし。①
このまま誰も来なくて、朝まで…最悪先生か警備員さんがくるまで、私は出られないかもしれない。
大袈裟かもしれないけど…アイツにちゃんと謝って、好きだって言えないまま死にたくないな。
アイツはたまにわけ分かんない事言ったり、俺様だし、お金の使い方全くなってないけど…私を好きで居てくれて、私に合わせてくれて、友達や家族にも同じように接してくれる。
そんな奴、なかなか居ないよね…。
逢いたいよ、伊崎。
「…しの!
星野!!」
何か幻聴まで聴こえてくるようになったらしく、今何時か分かんないけど、多分もう誰も居ない時間に、少し離れたところから伊崎の私を呼ぶ声が聴こえた。
同時に何か走る音のようなのも聴こえるし…。
「星野!!」
…って勘違いじゃ無さそう。
マジで?
「伊崎?伊崎なの??
出してー!!」
「星野?
ここか??」
ドンドン扉を叩きながら言ったら分かったみたいで、外からガチャガチャしていた。
「星野、鍵開かねぇから蹴破る。
離れてろ。」
「えっ、わ、分かった。」
焦りつつも指示に従って、扉から離れた。
大きな衝撃音の後、開いた扉から伊崎が飛び込んできた。
「星野?
大丈夫か??」
「伊崎!!」
来て助けてくれた安堵と喜びで無意識に伊崎の胸に飛び込んだ。
「星野…無事で良かった。」
そう言って、私を包み込むように抱き締めてくれた。
「来てくれて、ありがとう。
もう今日は誰も助けてくれないかと思った。」
「お前、携帯は持ち歩かねぇと意味ねぇだろうが。」
「ごめん。
ここに閉じ込められてから、携帯2台とも教室に置きっぱなしだった事に気づいたの。」
「ところで…何で閉じ込められたんだ??」
「何か手紙で呼び出されたの。」
「お前、それ行くか…普通。」
「やっぱり行かない??」
「はぁ…今度から絶対無視しろ。」
伊崎は呆れたような顔でそう言った。