僕らのはなし。①
「純、またニヤニヤしてんぞ。」
「今度は何だ??」
「あの女…完全に俺に惚れたらしい。」
場所は変わって、俺達の溜まり場にしている俺達所有のビルの一室……新と陣の質問に隠しきれないニヤニヤ笑いを何とか抑えつつ、答えた。
「はぁ?誰が??」
「星野。」
俺の話を聞いてた奴等が一瞬シーンとなる。
「えっ、何でそう思ったんだ??」
「女のノーはつまりイエスだ。」
「ん?だから??」
「アイツ、俺に惚れたんだ。
俺に反抗しようとすればする程、逆にハマっちまったんだな。
だから、好きな俺の誤解を解く為に、自分が処女だなんてアピールした。」
「えっ、じゃあキスすらした事ないってのは?」
「俺のキスを待ってる。」
「いや、さすかだな。
我が親友ながら見事な解釈だ。」
「まじでどっからそういう考えに?
そのポジティブさ、尊敬するわ。」
俺の話を聞いて、新と陣がそう言ったけど、本当は褒めてる訳じゃない事に気づいていなかった。
「俺に惚れない女なんていないからなぁ。
でも、アピールのし過ぎは引くよな。」
そう言いながらも、込み上げる笑みを止めることは出来なかった。
「そういえば、あの子誰かに似てないか??」
「そういえばそうだなぁ…。
何か知ってる人に感じが似てる。」
「「あっ、晶さんだ!!」」
陣と新が思い出したように、大声で声を揃えてそう言った。
「はぁ?アイツが姉ちゃんに??
似てないだろ!!」
「いや、似てる!!
姿形はあんまりだけど、あの雰囲気とかそっくり。」
「純に対する態度も物怖じしてない感じだし。」
「いや、似てねぇ。」
「似てるよ。」
「純は無意識なのか?
シスコンだからなぁ。」
「てめぇらいい加減にしろよ。」
「はいはい。」
「分かったよ。」
「てか、時雨は何処行った??」
いい加減にうんざりしたから、さっき気づいた事を聞いてみた。
時雨がいつの間にか居なくなってたのだ。
「いや、知らねぇ。」
「俺も。
知らないうちにどっか行ったんじゃね??」
「たく、アイツは…。」
「まぁ、仕方ねぇか。」
何となく付き合いが長けりゃあ相手の行動の意味も分かる。
時雨は分かんない事もあるけど。
理由に思い当たった俺達はそれ以上は何も言わなかった。