僕らのはなし。①


本当にパパは借金があったのかな?
確かに会社をクビにはなった。

だけど、このタイミングで?
どうもしっくり来なかった。

けど、無視する事も出来ない。


少しでもお金を渡せば帰ってくる?
事実確認も出来ない今、従うしかないのかな??

一晩中悩んだ。

お金がないわけじゃない。
パパの為なら渡したって構わない。

だけど、将来の為に貯めてきたお金だから…どうしても通帳を見つめながら、考えてしまった。



翌日…私はいつもの登校時間に家を出た。
だけど、向かうのは学校じゃない。

まずは図書館で少し調べものをした。

もし何かあった時、何か手立てはないかと思って。


昼前に出て、次に向かったのはスピカ。

「こんにちわ。」
「あれ?
星野さんどうしたの??
今は学校の時間じゃ…。」
「マスターにお願いがあって来ました。」
不思議そうに私を見るマスターに真剣な顔でそう伝えた。


「何かな?
ちょっと恐いな。」
「お金を…貸してほしいというか、前借りしてほしいんです。」
「どうして?」
「急に必要になって。」
「ごめん。
今はお金直ぐに用意出来ない。
知ってると思うけど、いつもギリギリだから。」
「…ですよね。
すいません。
変なお願いしてしまって。」
「ううん。
力になれなくてごめんね。」
「気にしないでください。
無理なお願いをしてしまったのは私なので。
ホントにすいませんでした。
じゃあまた。」
ずっと良くしてもらってるのにこんなお願いでホントに申し訳なくて、最後にもう一度謝ってから店を出た。




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