僕らのはなし。①
「こんな時間に急にどうした?
この前はホントに心配したぞ。」
次に私が向かったのは暁ちゃんのところだった。
昨日、電話で一応心配をかけた事は謝ったけど、今日学校のある時間に突然訪ねてきた私に暁ちゃんも不思議そうな顔をしながら用件を聞いた後、そう言ってくれた。
「心配かけて、ホントにごめんね。
あと、今から話すお願いもホントに申し訳ないんだけど…。」
「何かあったのか?」
「パパが急に連れてかれて…。
お願い。
大金を貸してくれなんて言える立場じゃないのは分かってる。
でも、バイト代の前借りだけでも頼めない??」
「おじさんが連れてかれたって…どういう事だ??」
「私達もよく分からないの。
急に家に知らない男達が押し掛けて来たらしくて、借用書見せられて払えないなら内臓でも売って返済しろってパパを連れてったらしいの。」
「何だそれ。
ホントにおじさんが借金したのか?」
「分からない。
このタイミングだから、伊崎のお母さんがまた関わってるとも言えなくないし。
でも、何もしないわけにはいかないから。
どうにかしたくて。
今、私の全財産はこれだけなの。
だから、少し助けてくれない??」
「…分かった。」
私は必死に説明して、持ってきた通帳も見せた。
暁ちゃんは暫く沈黙してから承諾してくれて、200万用意してくれた。
私の全財産と合わせて大体500万。
お礼を言うと直ぐに出てきて、銀行に行って自分の分を引き出すと、それを持って一度家に帰った。
「ただいま。」
「お帰り。」
「パパ?
何で??」
何故か家に帰ると、少し疲れが見えるもののいつもの穏やかな顔でそう言ったパパが居た。
当然、慌てる私。
「それに何この空気。
パパ帰ってきたのに何で暗いの??」
「湊…。」
パパの前に座っていたママに名前を呼ばれてそちらを向くと、机の下から何処かで見た事のあるアタッシュケースを取り出した。