僕らのはなし。①


ー湊sideー

「はぁ…ほんといつまで逃げれば良いの??
困ったなぁ。
今日はレッスンの日なのに…。」
私は今、学園内を隠れたり走り回っている。

何でこんな状況になったのかは、私本人にもよく分からないけど。



話は今日の授業が終わった頃に遡る…。

今日は朝から変な日で、私が登校しても全く何もなかった。
誰も私に視線を向けない。
誰も私を嘲笑しない。
誰も私の事を悪く言わない。
机やロッカーにも何も仕掛けられてない。


逆に何もない事を不審というか…不気味に思いつつ、1日を過ごした。
授業が終わって、レッスン室に行く為に急いで荷物を片付けて居ると、廊下が騒がしい事に気づいた。

首を傾げながらも片づけに集中していると、教室前が騒がしくなった。
視線を移すと、明らかに学生には見えない黒いスーツのおじさん達が教室に入ってきた。
しかも、何故かこっちに向かって歩いてくるおじさん達…1・2・3・4人??


何か恐いから、関わらないように早く行こう。

鞄を持って私は教室の入り口目指して歩き出した。
すると、目の前に黒い壁…じゃなかった。
さっきのおじさん達が立ちはだかっていた。

「あの…何ですか??」
「星野 湊さんですね。」
「はい。」
「我々と一緒に来ていただけますか??」
「嫌です。」
私はそう答えると、何とか振り切っておじさん達から逃げてきた。
今もまだ逃亡中。


「すいません。
逃げられてしまいました。
…はい。
引き続き、お捜ししてお連れいたします。」
何か電話口で相手に怒られてるみたいで、おじさんはそう約束して電話を切ったのを隠れた場所から見ていた。


てか、何で私?
何の用??
私、何かした?
何で私がこんな状況に??


少しずつレッスン室に向かって隠れつつ向かった。

「ふぅ…もう大丈夫かな。」
暫く逃げ回って、キョロキョロして居ないみたいだったので、もうレッスン室に行く事に。


ガシッ
急に後ろから両腕をおじさん達に拘束された。
「えっ、ちょっ、何??」
「我々と一緒に来ていただきます。」
それだけ言うと、振り払おうとしても無理で、校門のところに止めてあった車に乗せられ、逃げられないように両側におじさん達も乗り込んだ。
前にも2人乗り込むと車は何処かに向かって発進した。

「はぁ?
あなた達は誰??
誰の指示なのこれは。」
そう騒ぐ私におじさんの1人が、口にハンカチを押し当ててきた。

覚えてるのはここまで…。
だんだん意識が遠くなっていった。




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