僕らのはなし。①


ー時雨sideー


「おい?」
「何処行く気だ??」
あれから捜索隊に連絡したけど、この吹雪がおさまってからじゃないと出動出来ないらしく、何も出来ずに不安な時間を過ごしてたけど…星野が心配で心配で。
居ても立っても居られず、立ち上がり歩き出すと新と陣に肩を掴まれ止められた。


「星野、捜しに行ってくる。」
「おい、時雨。」
「落ち着けって。 」
「無理だから!
星野、この吹雪で動けなくなってるかもしれないって聞いてじっとなんてしてられない。」
自分でも思った以上に慌ててるらしく、大きな声が出た。


「分かるけど、今は無理だ。」
「もう少しおさまって、捜索隊が出られるようになるまで待て。」
そう言われて、俺は何も出来ない自分が酷く恨めしく感じた。


「ちょっと…頭冷やしてくる。
外には行かないから心配しないで。」
そう言って、部屋から出た。


「ちょっ、ヤバイよ!」
「まさかあの子、死んだりなんて事ないよね??」
「でも、あの子が悪いんじゃない。
SJの方々にいつも囲まれて、伊崎様にネックレスまでもらって良い気になって。」
廊下を歩いてると、そんな声が聞こえた。

こっそり見てみると、学校でよく見かける純の取り巻きみたいな女達がコソコソとロビーでそう話していた。

そのうちの1人の手の中には、キラリと光るネックレスのチェーンが見えた。


だから嫌いなんだ。
女なんて。
いつも自分を正当化して、平気で他人を傷つける。


「それ、どういう事?」
その後もコソコソ自分達は悪くないなんて言い張ってるこいつらに黙ってられなくて出てった。




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