僕らのはなし。①
ー湊sideー
「もう…動けない。」
自分の意思とは反対に、どんどん足が進まなくなって、雪が身体に乗って重いし。
このままここで雪に埋もれて凍死するのかな?
伊崎のくれたたった1つのネックレス…どうしてなくしちゃったんだろう。
ホントはもっともっと大事にしたかったのに。
何でいつもこうなっちゃうのかな?
もう…このまま永遠に会えないのかな?
伊崎…会いたい。
「…しの!
星野!!」
意識が遠退きそうな時…よっぽど会いたかったのか伊崎の声が聞こえてきた。
「おい!星野!!
寝るな!起きろって!!」
そう言って、伊崎に抱き寄せられて、凄い揺さぶられた。
これって夢?
…なら、ホントの事言っても良いかな??
「ごめんね…。
いつも傷つけてばっかりで。
伊崎の心、必ず見つけるって…そう思って来たのに。
もう駄目かもしれない。」
「星野。
分かったから。
俺が必ず助けるから。
守るから。
だから、諦めんな。」
そう言われたような気がした。
「ここは?」
気づいたら何か知らない天井が見えた。
「気づいたか?」
「伊崎?
どうして??」
「助けに来たに決まってんだろ??」
「…何これ??」
急に隣から声をかけられ見てみると、伊崎が居て、呆れたようにそう言われた。
で、あれは夢じゃなかったんだ…と思いながら自分の格好見てみると、ほぼ下着姿で毛布に包まれてた。
傍では温かい暖炉の火が灯っている。
「もしかして見たの?」
「しょうがないだろ?
あのままじゃお前が凍死しそうだったんだから。」
「ゴホッ…ごめん。」
まだ頭が何となくぼんやりしてるし、咳も出たけど、見られた恥ずかしさより今は謝らなきゃと思った。
「さっき聞いたから、もう良い。
もう無茶すんな。」
そう言って、抱き締められた。