僕らのはなし。①


「お礼…というか、お詫び。
何したら良い?」
「弁当。」
「えっ?」
伊崎は小さく呟いた。
よく聞こえなくて、そう聞き返した。


「だから弁当。
お前がいつも食ってるの。」
「卵焼き…とか?」
「実は食ってみたかった。」
「じゃあ…今度お弁当作る。
それ持って、ピクニック行こうか?」
「あぁ。」
自然に2人の顔が近づいて、私は目を閉じた。

そして、伊崎の唇が私のそれに合わさった。



気づけば窓から見える外は明るくなってきてて、吹雪もおさまったみたいだった。

伊崎のお蔭で身体も温められ、動けるようになった。


伊崎によそ向いててもらって服を着てると、捜索隊の人達がタイミング良く(?)やって来て、私達は無事にホテルまで帰る事が出来た。


「湊!!」
「星野!」
「純!!」
ホテルに入ると、柚瑠とSJの3人が出迎えてくれた。

「ごめんね…心配かけて。
すいません。」
柚瑠と皆に謝った。

すると、結城先輩が無言で握られた手を差し出して来て、それを開くと…中から何故かネックレスが出てきた。

私が手のひらを前に出すとゆっくり置いてくれた。

何でとかどうでも良い。
戻ってきたから。

「ありがと。」
そう言って、先輩にお礼を言って、伊崎を見ると笑ってくれたから私も笑顔になった。





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