僕らのはなし。①
あれから、数日後…私は朝早くから起きて、お弁当を作っていた。
今日はいつもと違って2人分。
伊崎と約束したから。
人のも作るとあって、いつもはちょっと手抜きで冷凍食品とかも入ってるけど、今日は全部手作りした。
そして、約束の12時前…お洒落して、待ち合わせ場所で待ってた。
少し早く着いたから、まだ伊崎は来てない。
私は階段に座って待つ事に。
いろいろ考えながら待ってたから、時間がとっくに過ぎてる事なんて全く気にならなかった。
気づいてからも、前に凄い待たせちゃったから、今日は私が待ってようと思って待ち続けた。
あれ?
今日だよね??
そう思って、携帯で確認。
やっぱり間違いじゃない。
だけど、夕方16時半になっても…伊崎は来なかった。
携帯も何度確認してもメールも着信もない。
冬なのに4時間半待ち…さすがに身体が冷えてきつい。
カイロ貼ってきたからギリギリ耐えられるけど。
「星野!」
震えながら縮こまって待ってると、目の前で見覚えのあるバイクが止まって、私の名前を呼ぶと慌てたようにヘルメットを取った。
「結城先輩?
どうして??」
「乗って?」
「えっ?」
「急いで。
純の父親が倒れて、急遽ニューヨークに行かなきゃ行けなくなった。
時間ない。」
そう言われたので、慌てて渡されたヘルメットをかぶって、バイクに乗った。
先輩もそれを確認して、ヘルメットをかぶるとすぐに出発させた。
お願いだから間に合って!!
それしか頭になくて、寒いとか気にならなかった。
「ありがと。」
バイクが止まって、ヘルメットを先輩に渡して走り出してすぐ…伊崎のローマ字のロゴが入った飛行機が飛び立つのが見えた。
少し暗くなってたけど、ライトがついてたから。
間に合わなかった。
もう足は止まってた。
呆然と柵越しに見つめるしか出来なかった。
「まだ…言ってないよ?
感謝の言葉も、好きだって言葉も。」
何かこのまま会えなくなるような気がして、涙が流れた。
すると、携帯のメールの着信音が。
『ちょっと行ってくる。
すぐ帰るから待ってろ。
星野、愛してる。』
そう文字が並んでた。
「伊崎…。」
余計に泣けてきて、涙が止まらなかった。
先輩が優しく慰めるように抱き締めてくれたけど、涙は暫く止まらなかった。