僕らのはなし。①
「はい。」
先輩は私の反応には全く気に止めず、立ち上がってバイクの後ろに積んでいた大きめのスポーツbagから靴を取り出すと投げて寄越した。
「あっ!!
えっ、これ??」
「そのままで、帰ったら補導されるから。」
「あっ、ありがとうございます。」
「じゃあ。」
そう言って、先輩はあっという間にバイクに乗って帰っていった。
先輩の貸してくれた靴はかなり大きく、カポカポ音が鳴ったけど、有り難く履いて帰った。
制服に裸足にブカブカの靴という変わった格好だったので、かなり見られたけど。
学校での視線に比べたら、全然大した事なかった。
夜、先輩に借りた靴を少し磨きつつ、自分の気持ちについて考えた。
初めての気持ち。
先輩が癖なのか何なのか…顔を近づけて覗き込んでくるように見てくる時、胸がドキドキする。
息も苦しくなる。
会えないと何してるのか気になる。
やっぱり私…先輩が好きなんだよね?
この気持ちを恋って言うんだよね。