僕らのはなし。①
3.好きな人の大事な人。


翌日…紙袋に昨日借りた靴を入れて、SJのラウンジ専用スペースを訪れた。

「あれっ?
誰も居ない…。」
まだ朝だからか誰も居ない。


てか、あの人達は授業とかどうしてるんだろう??
いつも登校時間は気分次第で昼とかだったりするし。
それで卒業出来るの??
よく3年になれたよなぁ。


「あれっ?君…。」
私が不審な感じでキョロキョロしていると、後ろから声が聞こえた。

振り向いてみると、四宮 陣と神崎 新が居た。


「珍しいね。
どうしたの??」
「純ならまだだけど。」
「はぁ?
いや、アイツ…伊崎先輩に用はありません。」
不思議そうに質問してきた2人にキッパリそう言った。

「どうしよう…。」
「あれ?」
「それ、時雨の靴??」
私が困ってチラッと袋の中を見ると、2人にも見えたようで四宮と神崎がそう聞いてきた。

「…これ、お借りしたんで返しに来ました。
申し訳ないんですが、渡してもらえますか??」
少し悩んだ末、2人に預ける事にした。

「ありがとうございましたって伝えてください。」
「うん、わかった。」
「それじゃあ失礼します。」
「あっ、待って。
お茶でもどう??」
私が行こうとすると、四宮さんにそう誘われた。
何を言われるのかと思ったけど、そんな深く考えなくても悪いようにはしないって見透かされたように言われたので、ご一緒する事にした。


「ふーん。
ほんと、君…星野だっけ?」
「そうですけど…。」
「星野は肝が据わってるな。」
「アイツにそこまで言わせるなんて。」
昨日の事を話すと、少し驚いたようにしつつ、先輩達は感心したようにそう言った。

「そうなのかな。
私は思った通りにしてるだけで、何一つ変わった事をしてる気はないんですけど…。」
「そこが変わってると思うけど…」
「あっ、聖奈。」
話していると、四宮さんの言葉にかぶせるように神崎さんが私の後ろを見ながら、聞き覚えのある名前を口にした。

神崎さんの視線を追って後ろを振り返ってみると、葉月さんがこのスペースに設置されたテレビのCMに出ていた。

「そう言えば、もうすぐだったな…。
アイツが帰ってくるの。」
「時雨の奴喜ぶだろうな。」
2人も少し嬉しそうにしながら、そう話していた。




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