僕らのはなし。①
次の日…何故か私のクラスが体育の授業でグランドを使用している時間に、同学年の先輩方と私達と同じ場所でバスケを始めたSJの彼等。
正直意味が分からない。
スポーツなんてしてるの初めて観たし。
結城先輩も珍しく参加だし。
敢えてここでやる意味あるのか訳が分からない。
授業が始まって少しして、屋内グランドに来ると、無理矢理半分のスペースを仕切って使い始めたのだ。
始めは気にしていたクラスメイト達も、もうある程度の彼等…というより伊崎の横暴さに、入学して2年も経つと若干の免疫が出来たのか、直ぐに授業に専念し始めた。
私も何となくいつもはレッスン室に居るのに、今日は体育の見学をしている。
自分のクラスはこの歳にも関わらずドッジボールをやってるが、正直何の興味もなく、結城先輩が結構活躍してるのを見ながら、ボーッと考えていた。
勿論、結城先輩の事を。
「星野!!」
何か誰かに呼ばれ、そっちを見ると…クラスメイトの女の子が結構近いとこでボールをこっちに振りかぶってるのが見えて、直ぐにボールが顔に激突した。
反射的に手が動きかけたけど、 手を怪我するのは避けたかったので、ぎゅっと握りしめて堪えた。
凄い痛い…。
何かタラーッと鼻から垂れてくる気がして、触ってみると鼻血が出ていた。
皆はそんな私を見て笑ってる。
やっぱりたまに体育を見学してもろくなことなかった。
この学園の人達は、皆常識がなかったのを忘れてた。
悩んでる暇なんてなかったのに、ここ最近嫌がらせが減ったから気が緩んでたのかもしれない。
羞恥心から鼻を押さえた時、急に浮遊感に襲われた。
「えっ、」
驚いて、状況を確認する為に下などを見た。
どうやら私はお姫様だっこされてるらしい。
誰がそんな事をしたのか気になって、相手を確認すると…伊崎だった。
「えっ、何?
ちょっと降ろして!!」
「黙ってろ。」
焦って脚をバタバタしたり、叩いてみたけど、その低い声での一言で一蹴された。
そのまま私の言葉は無視で奴は私を抱いたまま歩き出した。