僕らのはなし。①
「あのね…時雨。」
「うん。」
プルルルッ
聖奈が急に真剣な顔をして何かを言いかけた時、携帯の着信音がそれを遮るように鳴り出した。
「ん?…純から。
もしもし?」
相手を確認すると純で、今は飛行機の中のはずなのに、電話なんて変だと思いつつ出た。
「時雨、もう聖奈と会えたか?」
「うん。」
「予定変更。
もう招待客の移動の手配はしてあるから。
お前らも後から来いよ。」
「はっ?どういう事??」
別に純が急に予定変更なんて珍しい話じゃない。
思いつきでの行動が殆どな奴だから。
だけど、今回のはやっぱり訳が分からずそう聞き返した。
「気にしなくて良い。
じゃあ、行き先はお前ん家の運転手に伝えとくから。」
「はぁ…分かった。」
もうこうなったら、アイツは何言っても聞かないのは長い付き合いの中で分かってる事なので、ため息混じりに返事をすると直ぐに切られた。
「どうしたの?」
「予定変更だってさ。
勝手に招待客の移動の手配までしたらしい。」
「またなの?
純は変わらないわね。」
「うん。
どうやら、車で移動して行くらしい。」
「何処かしら?」
「運転手に伝えとくらしい。」
「そう。
その前に家に寄ってくれる??」
「分かった。」
それから俺達は一度聖奈の家にも寄り、純が決めた場所に向かった。