僕らのはなし。①



「…ムカつく。」
「まぁまぁ。
あの人達が前に湊が言ってた問題の人達だよね。」
「うん。
私に一番苛つかせたアイツが伊崎。
で、後ろに居た2人が四宮さんと神崎さん。

「でも、1人足りないね。
湊が話してた人。」
「うーん。
もともとあの人達がこんな行事参加してる事自体が珍しいからね。
神崎さんが誰か後から来るって言ってたし。
結城先輩の事じゃないかな??」
「そうなんだ。
でも、ホントに偶然って凄いね。」
「いや、違うから。
どうせ、私をバカにしに来たんでしょ??」
「それだけでわざわざ行き先変更して来るかなぁ??」
「さぁ…。
まぁ、気にせず仕事戻ろう。」
「うん。」
私達はさっきの客室に戻り、残りの仕事を終えると、順調に仕事をこなしていった。


担当する部屋の清掃が終わったのは、夕方近くだった。


一度部屋に戻り、小一時間くらい休憩をとり、今度はチェックインされたお客様を部屋まで案内したりした。
外が暗くなった頃、ホテルの正面入り口の前を通ると、何故かSJの3人が先頭に立ってうちの学園の生徒達が、正面玄関の前に居た。

誰かを待ってるみたい。


「あれッ?
さっきの人達だよね??」
「そうだね。」
「どうしたんだろう??」
「誰か待ってるんじゃない。
でも、伊崎じゃあるまいし、全員でお出迎えなんて…VIPな人でも来るのかな??」
そう話してるうちに、一台の高級車が到着した。


「えっ…。」
運転手が先に降り、扉を開けるとある人物達が車から降りた。
その人物達を見た瞬間それしか言えなかった。

結城先輩と葉月さん…。

結城先輩は手を差し出し、彼女が降りやすいように補助していた。


その動作がすごく自然で、2人の過ごした月日の長さを感じさせられた。

美男美女の2人…。


葉月さんは歓迎する生徒達に軽く挨拶を返すと、伊崎達のもとに真っ直ぐ向かい、1人1人と軽くハグをしていた。



結城先輩が一瞬こっちを見た気がしたけど、今は何となく気まずくて目をそらした。





< 38 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop