僕らのはなし。①
「柚瑠、行こ。」
「おい、庶民。」
柚瑠にもう行こうと促し移動しようとすると、いつの間にか私達の前に来ていた伊崎が話しかけてきた。
「何の用??」
「正直会えて嬉しいだろ?」
「はぁっ?」
あまりの馬鹿な発言に呆れてそれしか言えない。
しかも、今は凄い虫の居所が悪くてイライラするから、自然と口調もきつかった。
「こんな辺鄙なところで退屈してたろ?」
「あのねぇ、私は此処に仕事しに来てるの。
それなりに充実してたし、アンタに会うまではハッピーな気分だったわよ。
それに辺鄙なところじゃないし。」
「まぁ、お前もうちの生徒な訳だし、来ても良いぞ。」
「何処にか知らないけど行くわけないでしょ。」
自分の用件だけ言ってさっさと行ってしまう伊崎の背中に向かって吐き捨てるようにそう言った。
「この後、彼女の歓迎パーティーがあるんだ。
君も来るだろ??」
今度は結城先輩が私達の前に来ると、微笑みながらそう言った。
「はい。行きます!!」
どうしても彼には毒を吐けず、しかも笑顔で言われたもんだからついついそう返事してしまった。
「うん。
じゃあね。」
先輩はそれだけ言って、また彼女のところに戻っていった。
「ちょっと、」
「あぁ…何にも言わないで。
分かってるから。
私も乗り気じゃないの。
つい…。」
「あらっ、星野さんは来なきゃダメよ。」
「先輩方のお誘いなんだから。」
クラスメイトの中心格の女子が3人此方に来ていて、そう言った。
「それと、星野さん。
パーティーについて言っておきたいんだけど。」
「そんな堅苦しいものじゃないから、ラフな格好で大丈夫よ。」
「そうなの??」
「えぇ。
じゃあ待ってるから来てね。」
「「じゃあね。」」
そう言うと、皆葉月さんのもとに。
葉月さんは伊崎や結城先輩達に囲まれて、仲良さそうに話しながら行ってしまった。