僕らのはなし。①
「はぁ?お前誰だよ。
早く手を放せ。」
「謝ってるじゃない。
これ以上は黙ってられない。
やめなさいよ。」
「俺様にジュースぶっかけといて、タダで済むわけねぇだろうが。
俺はお前らと違って、将来世界を背負って行く男なんだぞ!!」
「だから、謝ってるし言う事聞くって言ってんじゃない。
それでもやるって言うなら…」
私はそこまで言うと、伊崎の持っていたコップを奪い、伊崎に向かってぶっかけた。
「何すんだてめぇ!!」
「貴方が私の友達にしようとした事をしただけです。
すいませんでした。
これでクリーニングしてください。
足りなければまた言ってください。
失礼しました。」
私は財布を取り出すと、5000円札を1枚出して、伊崎の手に握らせ、お弁当箱を素早く片付けると、花の腕を掴んでラウンジを後にした。
後ろでまだ伊崎の怒鳴り声が聞こえてたけど、無視した。
「ちょっと、湊!!
やばいよぉ!!」
私の後ろから花の焦った声が聞こえ、もう大分ラウンジから離れていたので立ち止まり振り返った。
「大丈夫!
何かあれば私が守るから。」
「でも。」
「私がやった事の方がきっと怒らせただろうし。
花はきっと大丈夫だよ。」
「でもそれじゃあ湊が。」
「私なら大丈夫。
あいつになんか負けないから。
前から気に入らなかったし。
そりゃあ恐いから、大人しくしてたけど限界。
花に酷い事しようとするなんて絶対に許せない。」
「湊、大好き。」
不安げな花に安心させるように微笑みながらそう言うと、突然抱きついてそう言ってくれた。
何か逆にパワーをもらえたような気がした。
その日はコソコソ他の生徒たちの噂話にされたようだけど、何もなかった。
まぁ、それが逆に恐ろしいんだけど…。