僕らのはなし。①
4.彼女の選択。
仕事も一通り終わったので麻実さんのもとへ2人で行き、パーティーに誘われた事を話すと、是非行ってきてって言ってくれた。
まだ皆は仕事してるのに何だか申し訳なかった。
けど、行くと言ってしまった以上、ドタキャンは私にとっては許されない。
部屋に戻り、持ってきていた服を引っ張り出し、パーティーに来ていってもまだ比較的マシな服を選ぶ。
「一応、ワンピースの方が良いと思うよ。」
「そうだね。
でも、これで良いのかな??」
「うん、可愛いよ。」
持ってきていた服の中から、ワンピースを取り、身体の前にあてながら聞いてみると、柚瑠は笑顔でそう言ってくれた。
「やっぱり私…」
「はいはい。
良いから行ってきてって。
物怖じしてたら何も手に入らないよ。
幸せは自分で掴むものなんだから。」
パーティー会場のホテル内でも最も大きな広間の入り口近くまで柚瑠に付き添ってもらった。
だけど、入り口前の黒いスーツの男の人2人を見て、やっぱり私は行くべきではないんじゃないかと引き返そうとすると、柚瑠に肩を掴まれ、また広間の方に私を向かせると無理矢理押された。
その反動で入り口前に出てしまった。
「じゃあ楽しんできて!!」
「うん…。」
気が進まないながらも、私は行く事にした。
柚瑠はあっという間に行ってしまい、入り口前に居る黒いスーツの男の人の前に。
「お名前をどうぞ。」
「星野 湊です。」
「…お入りください。」
私の名前を聞いて、胸ポケットから取り出したリストから探し出すと、扉を開けてくれた。