僕らのはなし。①
あれから数日がたったある日…登校すると学園の雰囲気が何だかおかしかった。
携帯片手に、ヒソヒソと話しながら私と画面を交互に見て何か言う人や、やたら媚びを売るような接し方の人達。
いじめられてた時とも違う感じだし…何だろう?
「ちょっと湊ー!
大変な事になってるよ!!」
校舎の入り口に何故か立ってた花が私が登校したのに気づいてそう言いながら、何か人が集まってる入り口に設置された電子掲示板の前に連れてった。
「えっ、何これ?」
そこにはあの閉じ込められた朝の私と伊崎が写った写真が。
しかも、顔を近づけてるとこで、写真を撮ったアングルからだとキスしてるようにも見える。
「湊、伊崎先輩と付き合ってるの?」
「えっ、違う。」
「そうだ。」
花が戸惑ったようにそう聞いてきたので、否定しようとすると、隣から真逆の事を言った声がかぶった。
「そうなの?」
「マジかよ?」
「だから、違っ」
「そうだ。
じゃあ行くぞ。」
かぶったのは勿論伊崎の声で、四宮さんと神崎さんも初耳のように確認してきたから否定しようとすると、今度は遮られた。
しかも、その場から肩に手を回され連れてかれる始末。
花置いてきちゃったし、否定させてくれないしムカついた。
連れてこられたのは、ラウンジのSJ専用スペース。
「はぁ。
誰がアンタの彼女?
適当な事言わないで!!」
「別に良いだろ?
一晩過ごした訳だし。」
「何それ?」
「聞いてないぞ。」
キレて少し声を荒げて話す私とは対照的に、照れたように言う伊崎。
それを聞いて、ついてきてたらしい四宮さんと神崎さんがどういう事なのかと詰め寄った。
「とりあえず違うから。
ちゃんと否定しといてね。
あと、ありがとう。
両親喜んでた。
お金ちゃんと払うから金額言って?」
呆れつつ、必要な事は簡潔に伝えた。
「要らねぇ。
喜んでたならそれで良い。」
「…うん。
じゃあ頼んだから。
またね。」
あんまりしつこく言うのもどうかと思って、今回は貰っておく事に。
否定してくれるよう頼んで、直ぐに授業を受けに教室へ。
花を目で捜したけど、早退したらしくずっと居なかった。