僕らのはなし。①
「うーん…ん?」
目覚めると、何か明るい…。
もしかして…朝とか言わないよね??
それに目覚めた時に始めに目にした天井は、家のものではないのは直ぐ分かった。
だって色が全然違うから。
しかも、私が寝ていたベッドも自分が普段使用している布団の感触と大きく異なっている。
家のはこんなフワフワじゃない。
「何これ??
えっ、私…何があったの?」
中でも一番驚いたのは、起き上がった時に気づいた自分の格好で、下着姿だった。
状況を確認しようと周りを見てみる。
床に散乱している昨日私が着ていた衣服。
部屋の鏡台の鏡には、赤い口紅で昨日は楽しかったって書いてあった。
昨日は楽しかった…?
何それ?どういう事??
「痛ッ…。」
少し頭痛のする頭を無理矢理働かせて、昨日の記憶を取り出そうとする。
昨日は…花のお見舞いに行って、クラブに行って。
花が踊ってたから、隅で見てて…男の人と知り合って。
息苦しいから一緒に外に出て。
ギターを弾いてもらったのは覚えてる。
でも、それからの記憶が全くない。
意識が急に遠退いて…何で此処に?
あの人が連れてきたの?
もしかして…何かしたの??
私、処女なんだけど。
もう違うの??
何度考えても全然思い出せないから、何があってこんな状態なのか分からない。
とりあえず急いで服を着てホテルから出た。
一応フロントに行ったけど、お金は支払い済みだった。
勿論連絡してなかったから、家に帰ったら怒られた。
だって、今度外泊する時はちゃんと連絡するって言ったばっかりだし。
まだ高校生なのにこんな1週間のうちに2回も外泊なんて。
自分でも反省しないといけないと思う。
また遅刻して登校すると、学園の雰囲気が異様だった。
「あっ、来たわね!!」
「ちょっとどういうつもり?」
「えっ、何??」
いつもの自称・桜ノ宮学園の三大美女が登校早々やって来て、私を取り囲むとそう言った。
私もよく分からない事で絡まれたので聞き返す。
「とりあえず来なさいよ!!」
「そうそう。」
「来なさい!!」
そう言って強い力で腕を捕まれ、無理矢理連れてかれた。
「痛ッ!
何?離して!!」
そう言っても聞き耳持たなかった。
「これ、どういう事よ!!」
無理矢理連れて来られたのはカフェラウンジで…人が一部の場所に何か集まってるのを突っ切って、前に引っ張ったまま手を離され、よろけて何かにぶつかった。
それはきっと人が集まってた原因で、確認してみるとカフェラウンジに設置された電子掲示板だった。
「イッタ!何すんのよ!!
えっ、何これ…。」
3人に文句を言った後、ぶつかった掲示板を目にした私は頭が真っ白になった。
だって、昨日の男の人と今朝私が何故か眠っていたベッドで下着姿で寝ている私の写真がスライド式で流れていた。
私だって記憶がないのに、何で今朝の今でこんな写真が??
あり得ないし、何か状況がおかしな方向に向かってる気がする。
「何とか言いなさいよ!!」
「アンタ何やってんのよ??」
「伊崎様を弄んだわけ??」
「この悪女!!」
「人は見かけによらねぇな。」
そう口々に周りに居た生徒達が詰め寄ってくる。
「どうした?」
そんな時、最近はよく聞き慣れてきた男の声が入り口から聞こえてきた。